テナントの悪口は百害あって一利なし
ショッピングセンターは複数のテナントの集合体です。
世界的企業もあれば日本全国チェーン、小さいながらも地元に愛される店、
スタートアップの新しいお店など、業種や形態も様々です。
施設を束ねる立場の私たちはプロモーション活動を通して集客するのと同時に、
施設のルール周知や、施設内の安全を守る必要もあるわけです。
他人同士が集まる場所なのでなかなか意識や行動を揃えるのは難しいのですが
われわれからテナントさんに対しての種々のお願いをしていかなくてはなりません。
デベロッパーによってはかなり強権的に指導をする会社さんもあるようですが
それが出来る場合と出来ない場合がありますし、良し悪しですよね。
私がテナントさんと協議をしなくてはならないなと感じた事例で言うと、
①売上が上がらないので〇〇してほしい、とテナントから要求されたとき
②お客様からのクレームが頻発しているとき
③こちらからお願いしている提出物の未提出や会議体への出席拒否が見られるとき
④施設での行動規範に関してルール違反があった時
もちろん、これは軽微な例なのでもっと重大なものもあったりします。
それぞれ解決方法は互いに協力し合いながら見つけていくものですが
その中でありがちなのが「担当者がテナントの悪口を事務所内で言う」ことです。
特にこちらからのお願いに対してテナント側が難色を示した場合に
何の気なしに愚痴が出てしまうことがありますが、これはいいことではありません。
ショッピングセンターや仕事に限らず、
それ以前に人間関係として好ましいものではないはずです。
一度良くない評判を運営側で共有してしまうと、
そのテナントをショッピングセンターという共同体から村八分にしてしまいます。
担当外のスタッフも「あの店はそういう店だ」という意識を持ってしまうと
その後のコミュニケーションにおいて心理的なハードルになってしまうからです。
コミュニケーション不全になると、より一層テナントとしては相談もせず
自分たちのやりたい形で日々の営業を行うようになるでしょうから
今後のお願いごとや交渉もどんどんやりにくくなるだけなのです。
もし主たる窓口であるテナント店長と折り合いがつきにくい場合は
たとえアルバイトでもその店舗で話の出来る知人を作っておくことが重要です。
なにしろ疎遠になってしまってはいけないのです。
同じ屋根の下にいるということは、好む好まないに関わらず
日々を一緒に過ごさなくてはならない仲間であることを意識しなければなりません。
ポイントとしては
①悪口を言わない(幼稚園児みたいですが)
②他の担当者に「あのテナントは〇〇が良くない」と先入観を植え付けない
③テナント店長だけでなく他のスタッフともコミュニケーションを取れる関係に
北風と太陽、という話がありますよね。
私はこの太陽効果をショッピングセンター運営に生かせないかと思っています。
キャリアのある人(実績があるというより業界が長い人)ほどテナントに対して
いいからこうしてくれ、ルールを守れ、提出物を出せ、となるのを見てきました。
デベロッパーとテナントが「大家と貸借人」の関係とは少し違うことを
意識するところからはじめていくことが重要と私は考えています。